コーチングプラットフォーム認定コーチの本間 季里(ほんま きり)です。

コーチングをするにあたって大切なことはたくさんありますが、その中の一つがフィードバックです。

私は普段、産業医として働いていますが、産業医面談のなかでフィードバックというと「ダメ出し」と感じている従業員の方がたくさんいることに驚きました。それだけ、フィードバックという名のもとにダメ出しを食らっている人が多いということでしょう。

コーチングの場面で言うフィードバックとは、相手の話をよく聴いて、感じたことをそのままに伝えること。これってやってみると意外に難しいんです。自分の中の雑念が邪魔をするから。
「自分はできているのかよ!偉そうに、って思われないかな」
「相手が気を悪くしないかな」
「クライアントは私よりずっと経験のある人だし、私がこんなこと言って良いのかな」

などなど・・・これって結構高いハードルだったりします。私も本当に悩みました。こういう思いが邪魔をして、率直なフィードバックがなかなかできなかったのです。

私はコーチングを学ぶ数年前にアサーティブを学び、その奥深さに魅せられてトレーナーの資格を取りました。その後、コーチングプラットフォームでコーチングを学んでいるとき、学ぶ項目の一つに「アサーティブ」が入っていました。

当時は「やっぱりアサーティブな伝え方は大事だもんね」くらいにしか考えていませんでしたが、いまはコーチとして的確なフィードバックをするために、アサーティブのマインドは欠くことができないものと考えています。

アサーティブのマインドを知ってトレーニングを積んでいくと、このフィードバックするときのハードルが低くなることに気づいたからです。

アサーティブのマインドのなかには「対等であること」「自分にも相手にも誠実であること」「率直であること」が含まれています。

もし、これらがなかったら・・・

クライアントとの間に対等感がなかったら・・・相手の立場や経験、年令によって、上から目線になったり、卑屈に下手に出たりしてしまいます。これって相手によって態度が変わるってことだし、対等感がないフィードバックは、相手に届きません。

誠実さが欠けていたら・・・本当はコーチであるあなたが気づいているのに、腰が引けて伝えないことで、クライアントの変化や成長という成果が得られないかもしれません。あなたがあなた自身に囚われていて、クライアントに必要なフィードバックを伝えられないとしたら、それはあなたにもクライアントにも誠実とは言えないでしょう。

クライアントに対して率直さがなかったら・・・せっかくのあなたのフィードバックがクライアントに届きません。あなたにためらいがあると、せっかくのフィードバックが回りくどくなったり、話しているうちに軸がぶれてしまう。その結果、相手にあなたのフィードバックが伝わりにくくなります。

コーチとクライアントは対等であり、率直に感じたことを伝えるからこそ、コーチングが機能する。だからこのマインドは双方にとって大切。そのために、コーチの姿勢がアサーティブであることが重要なのだ。

コーチになって数年経ってやっとこのことを言語化できました。自分の中で点と点が強いロープでつながりました。そして、今日も私はアサーティブを意識してクライアントと向き合っています。