「ゴール(目的)は何か?」と聞かれて、仕事の成果や円滑な人間関係など、「上手くいく」ことをまず念頭に置いて考えていませんか?
確かに私たちは、様々なことに対して「上手くいく」ように日々頑張っています。
でも、目指す「ゴール」は本当にそこにあるのでしょうか?
今日は、「ゴールは何か?」に向き合うことで、本当は「どうなりたいのか?」に出会えた、そんな話をしたいと思います。
私は運動指導の仕事をしていて、行政や法人、各種団体から、運動や健康に関する講座を依頼されることがあります。
勿論、担当の方と色々と打ち合わせをして、テーマ内容を詰めるのですが、「上手くいくだろうか?」と当日までどきどきしながら過ごします。
過去には、参加者の視点を考えてなかったり、作成した資料通りに進めようとして参加者を置いてけぼりにしてしまったり・・「上手くできなかった」苦い経験があり、同じ思いはしたくない、強く思っていたからです。
「参加者の方に満足していただけるだろうか?」
「主催者の希望に沿った内容になっているだろうか?」
資料を作成する段階から試行錯誤を繰り返し、考え抜いても、それでも不安は拭えません。
ずっと「上手くいくこと」だけを考えていました。
そんな時、コーチングのセッション練習をしていて、先輩コーチにこう言われたのです。
「ゴールが明確でない、ちゃんと聞けていない」と。
コーチングには「GROWモデル」という型があります。
G Goal 目標
R Reality・Resource 現状・資源
O Option 選択肢
W Will 意志
この型に沿って進めていくことで、クライアントの行きたい方向に向かうことができるのです。
「ゴール」が設定できていないということは、クライアントの行きたい方向へは進めない、そういうことなのです。
「ゴールって何だろう?」
他の言葉にすると「目的」や「目標」などの言葉になるのですが、どれも「成果を上げる」や「成功する」など、「上手くいく」ことを意味しているように感じていました。
満面の笑みでバンザイをしながらゴールテープを切っている、正しくそんなイメージです。
ここまで考えてハッとしました。
そもそもどんな状態になったら、満面の笑みでバンザイできるのか?
「上手くいく」とはどんな状態を指すのか?
そこで、「ゴール」について考えてみました。
依頼された講座が「上手くいく」とはどういうことなのか?
初めのうちは、大きな失敗もなく、準備したものが抜けや漏れなく伝えられれば、「上手くいった!」と思っていました。が、年数や回数を重ねるうちに、参加者や主催者の表情や反応が気になって、思ったような反応がなかったりすると、もやもやした気持ちになることもありました。
もやもやしてしまうと、私の中では「上手くいった」ことにはならないのです。
参加者の笑顔や頷きが増え、主催者の満足そうな様子を見て初めて「上手くいった!」と思えるのです。
だとすれば、私が依頼された講座を考える時、私のゴールは「上手くいく」ことではありません。
私のゴールは「参加者の笑顔や頷きが増え、主催者が満足そうな表情にすること」
ただ、どんなに準備をしたとしても、そうなるかは分かりません。
現場に行って実際に参加者を見て、聞いて、感じることが大事だと思いました。
その為に、「参加者のそれぞれの目的は何だろう?」「主催者はどんな講座にしたいのか?」「終わった時に会場がどんな状態になっていたらいいか?」など、色々と想像を膨らませながら準備しておくと安心して講座に臨むことができると思いました。
そんな時、ある老人クラブから講座の依頼がありました。
いつものように担当者と何度も打ち合わせをして準備を始めましたが、「終わった時、参加者や主催者がどうなっていたらいいか?」を何度も考え、想像を膨らませて準備することで、いつもの不安はなくなりました。
が、当日現場に行ってみると・・担当者から来ていた情報とかなり違っていることに気が付きました。
*会場が狭く、イスに座った状態とはいえ、動ける環境ではない
*参加者の年齢がかなり高く、歩くのも大変そうな方が多い
主催者の方は「楽しく身体を動かして欲しい」とおっしゃっていましたが、私が想像していたのとはかなり違うと思いました。
さあ、どうしよう?!
とっさに「準備してきたものは使えない」そう思いました。
この参加者の方々が、狭い会場で楽しく動くにはどうすれば良いか?
私のゴール「参加者の笑顔や頷きが増え、主催者が満足そうな表情をすること」に向かってひたすら考え、参加者の方々と対話しながら、出来ることを探して進めていきました。
結果、笑顔が次第に増え、質問の声を挙げられるなど、和気あいあいとした会場の様子に、主催者の方も満足そうにされていました。
私は無事、満面の笑みでゴールテープを切ることができた!のです。
以前のように漠然と「上手くいく」ことだけを考えていたら、強引に準備してきたものを押し付けて、結果もやもやすることになっていたかもしれません。
「ゴールは何か?」に向き合い考えることで、今回は「どうなりたいか?」目を向け準備することができました。その結果「上手くいった」のです。
これからも「ゴールは何?」と自身に問いかけ考えていく・・そのことが私自身を成長させてくれると感じています。