― 娘が教えてくれた、人との向き合い方 ―
「薬剤師として、もう一段階上に行きたい。
スキルアップしたい。」
これは、コーチについていただいてまだ間もない頃、
マイコーチに私が伝えたリクエストでした。
当時の私は、調剤薬局の経営をしながら現場にも立つ、いわゆるプレイングマネージャーでした。
その一方で、新たに漢方薬局を作り、漢方薬剤師としての可能性を広げたいという思いがあり、さまざまな学びを重ねていました。
患者さんと向き合う中で感じていた限界
私の薬剤師としてのスタンスは、
薬を渡す前に、その方の生き方やご家族、これまでの経緯といった背景を知ることでした。
そのうえで、
「この方に今いちばん必要な一言は何か」
を添えることを大切にしてきました。
お薬の説明だけでなく、生活のこと、ストレス、心配事など、心の話に及ぶことも少なくありません。
時には、ただひたすら話を聴き続けることもありました。
そのような関わりを続ける中で、自分の力不足を強く感じるようになりました。
- どうすれば短時間で
- 詮索されていると感じさせずに
- 本当に役立つ情報を引き出せるのか
この力は、これから漢方薬剤師として進むうえで、必ず必要になる。
そう確信していました。
「コーチングプラットフォーム」という提案
そんな私に、マイコーチが教えてくれたのが、
「コーチングプラットフォーム」というコーチングスクールでした。
岡山で講座が開かれていると聞いたものの、正直なところ、私はかなり慎重でした。
それまでに紹介されたセミナーや講座で、違和感を覚える経験を何度もしてきたからです。
(余談ですが、スキンヘッドに黒スーツが制服の団体や、有名人のがん治療に関わっているという触れ込みで、入校条件として数百万円相当の“金の棒”を購入する、という話までありました。)
疑いから始まった初日
そのため、コーチングプラットフォームの初日も、完全に疑心暗鬼でした。
信頼しているコーチの紹介であっても、
運営側に高校の同級生がいたとしても、
「もし怪しかったらすぐ帰ろう」と決めていました。
受講料は1回分のみ支払い、
かばんは出入り口のすぐそばに置いて講座に臨みました。
ところが、時間が経つにつれ、
あの独特の“怪しい雰囲気”がまったくないことに気づいたのです。
講義やワークは淡々としていて、全体に穏やかな空気が流れていました。
講師の関わりも、近すぎず、遠すぎず。
無理に踏み込まれることはなく、
こちらの意思やペースが常に尊重されている。
「ここは、人のあり方や思いを本当に大切にしている場所だ」
そう感じ、自然と安心している自分がいました。
これが、私とコーチングプラットフォームとの出会いでした。
家庭で起きた、思いがけない変化
コーチングの理論や技法については、多くの方が書かれていると思います。
ここでは、初回の2日間を終えて帰宅した後に起きた、私自身の変化についてお話しします。
私には当時大学生だった娘がいます。
長女とは仲も良く、普段からよく話をしているつもりでした。
けれど実際には、「良かれと思って」口を挟み、話を遮り、すぐに解決策を提示する親でした。
娘が何か言おうとするたびに、先回りして答えを出してしまう。
きっと、とても歯がゆかったのだと思います。
初回講座で「聴く」ということを体感し、帰宅後、私は意識して娘の話を聴くことにしました。
途中で口を出したくなる自分。
「それならこうしたら?」と言いたくなる自分。
それをぐっとこらえ、最後まで話し切るのを待ちました。
すると娘が、泣きそうな顔でこう言ったのです。
「今日は、思ったことを最後まで言えた」
その言葉に、胸を打たれました。
彼女の中にたまっていたものが、ようやく外に出た瞬間だったのだと思います。
傾聴は「入り口」にすぎなかった
傾聴すること。
それだけでも、十分に役に立つスキルでした。
しかし、その後に続いた6回・12日間にわたる座学とワークでの学びは、
社会人になってからの学びの中で、最も有益なものだったと感じています。
コーチングは、人生を豊かにし、
物事の展開速度を確実に速めていきます。
講座で学ぶファウンデーション(自己基盤)は、
コーチ自身のあり方を安定させるだけでなく、
周囲の人の心をも穏やかにしていきます。
今の私の仕事において、
治療に役立つツールの中で最も重要なのは、
コーチングスキルを用いた「会話」だと感じています。
目の前の方が何を求めて来られたのか。
その心の奥まで話していただき、
穏やかな心で傾聴できた時、
治療はすでに大きく進んでいると感じます。
それは、どのような立場の方であってもきっと同じです。
今も、私は修行の途中です。
それでも、コーチング、そしてその入り口である傾聴を学んだだけでも、
人生は確かに変わっていきました。
それが、私が体験したコーチングプラットフォームの講座であり、
「コーチングって、面白い」と心から思う理由です。