コーチングプラットフォーム認定コーチ 久保陽子です。

コーチとしての活動の他に、乳幼児のお子様がいらっしゃるお母様向けに「子育て講座」を開催しております。今回は講座の場で時折感じるジレンマについてお話しします。

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乳幼児の子育ては、悩みが尽きない。

「他の子はもう立っているのに、なぜうちの子は・・・

「子どもの為に遊びに連れていきたいのに イヤイヤ言って準備が進まない」

「お友達に遊具が貸せず、手が出てしまう。このままだと意地悪な子になっちゃう?」

多くのママはワンオペ育児を強いられ、寝不足で、疲れが溜まっているのがデフォルトだ。

三食準備をし、ただ安全に命を守るだけで精一杯なのに、身体や知能の発達、心だって健やかに育てたい。一日中「早く!」と怒ってばかり。やらないといけない事はたくさんあるのに何一つうまく行かずイライラし、つい夫や子どもに当たってしまう。

「本当は笑顔で子育てしたいのに、どうすればいいの?」

子どもの寝顔に「ごめんね」とつぶやきながら眠りに就くママが、答えを求める先は大抵スマホだ。

キーワード検索すれば3秒で答えが返ってくるスマートフォン。私の子育て講座には、便利なツールのスマホで調べても調べても、育児の正解が見つけられなかった方たちが来てくださる。

「コーチングを子育てに活かす」ための講座の為、「答えはその人の中にある」と信じ、「質問を通じて答えを引き出す」ことを大切にしている。 

☑答えはご自身の中にあること

☑コーチングに質問は不可欠であること

☑すぐに答えがでなくても焦らず、じっくり考える事の重要性

そんな心構えを事前オリエンテーションでしっかりご説明し、ご了承頂いた上で受講というステップを踏む。

「質問」はこの講座において欠かせないものなのだが、時に「質問ばかりしていないで、すぐに答えを教えてよ!」そんな受講生様のお気持ちが見え隠れするときもあり、心が揺れる。私自身も受講生様と同じ想いをした経験があり、「早く答えを知りたい!」というお気持ちも痛いほど分かるからだ。

「講師の立場」と「ママの本音」の狭間でジレンマに悩んだ時に、ふと心に浮かんだこと。

それは「質問って何なのだろう」という、シンプルで深い問いであった。

小・中学生の娘が二人いる私にとって「宿題やったの?」「もうご飯食べ終わった?」日々の生活ではそんな「質問」のオンパレードだ。私達の日常において「質問」は疑問を解決したり、現状を確認することに使われる事が多い。

振り返ってみれば自分自身も学生時代、先生に問われたら「正しい答えを素早く」答えるよう教育されてきた。サービス業に携わっていた時は、お客様からのお声に「正確に迅速に」対応するべきとの精神を、徹底的に叩きこまれた。

だからこそ自分自身がコーチングを受け始めた頃は、「早く答えなきゃ」「良い答えを言わなきゃ」「結論を出さなきゃ」そんな思いでがんじがらめ。

沈黙の時間に堪えられず、とにかく「何となくそれっぽい答え」を出さなくては、と焦っていたのだ。

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でも安心安全な場をコーチが作って下さったお陰で、かっこ悪い自分も、ドロドロとした自分も、嫉妬や欲深い自分も、少しづつさらけ出せるようになった。

そして今では、何なら質問されてじんわり冷や汗が出るような、居心地の悪い想いをすることにだって、実は意味があるのだと思えるようにもなってきた。

それは「コーチとの対話の時間だけがコーチングではない」と知ったから。例えその場で答えが出なくても、後から気づきが湧き上がる事もあるし、むしろそれの方が大きな気づきが得られる時すらある。

コーチングを幸せな親子を増やすツールの一つにしたい

とはいえ「質問」がクライアント様を無闇に苦しめているならばコーチングとして機能しない。だからこそお相手によって質問の内容や表現を工夫する必要性があるだろう。

また講座の場合は、講師の立場としての意見や考え方のヒントを参考までにお伝えすることも必要だ。(それを選択するかどうかはご本人の判断だが・・・)

ガチガチに「質問だけしかしない」のではなく、肩の力を抜いて、受講生様が自分で考えられるよう、ステップを踏んでサポートするのが私の役割。「受講生様の気づき」に繋がる為ならばもっと柔軟に手段を考えて良い、とコーチングプラットフォームで学んでから感じるようになった。

 

私の使命は「子育てにコーチングを取り入れることが当たり前の世界を作り、自分らしく生きる親子を増やして行く事」

その為にはコーチングを「意識高い系」の人だけの特別なものにするのではなくもっと気軽に体験してもらい、その素晴らしさを味わってもらいたいと思っている。

知識やらスキルやら小難しいことは抜きにして、普通のママ達の日常生活に当たり前のようにコーチングを落とし込む為に、一体私は何ができるのだろう?

そんな「質問」を常に自分に問いかけながら、今日もクライアントと向き合っている。