こんにちは。コーチングプラットフォーム認定コーチの木村和宏です。
今回は、コーチングのスキルが意外なところ、具体的に言うと、ITシステムの監査(システム監査)の際に役に立ったというお話をしたいと思います。
システム監査とは、企業の情報システムの管理状況をそのシステムの運用を担当する組織とは別な組織がチェックし、課題の抽出や改善の提案をするといった作業を言います。
パッと見では、システム監査とコーチング?どこで共通するの?コーチングが役立った?どこで?と思われるかもしれません。
しかし、そこがコーチングの面白いところなのかもしれません。
システム監査を行うにあたっては、監査項目のチェックリストがあり、監査人が、システムの運用担当者に対して、チェックリストに基づいて監査を実施していきます。
コーチングを学ぶ以前、監査を実施する際には、チェックリストに従って、そのまま「〇〇はありますか?」「〇〇が書かれた文書を見せてください。」といったように訊いていました。
相手がシステム監査への対応に慣れている場合は、その質問でも、質問の意図を汲み取り、具体的に回答してくれたり、対応する適切な証跡を提示してくれたりしますが、初めて監査を受けるような場合には、見当違いの回答が返ってきたり、うまく説明されなかったり、質問の意図とは関係ない文書を出してきたりして、なかなか監査の作業が進まないこともしばしばありました。
そして、その後、私もしばらく、システム監査の業務から離れていました。
コーチングを学んで、傾聴、承認、フィードバック、質問といったコーチングスキルがあり、これらを総合的に組み合わせることが大事だということ、また、質問にはオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンがあり、オープンとクローズドの質問をそれぞれ効果的に組み合わせていくことが大事だということを知るようになりました。そして、日頃のコーチングセッションでもこれらを意識して実践していきました。
先日、何年か振りにシステム監査を行う機会がありました。
相手のシステム運用担当者は、監査を初めて受ける人たちでした。コーチングを学ぶ前でしたら、以前と同じようにチェックリストに従って「作業の承認ルールはありますか?」とか「システムの更新作業のルールを記述した文書を見せてください。」といったような質問をしていたと思います。
しかし、今回は違いました。
私:「今、システムの更新作業を行う際にどのように進めています?」
相手:「〇〇〇〇です。」
私:「具体的にどんな手順でやられれていますか?」
相手:「●●●●です。」
私:「なかなか緻密にやられていますね。他の部署にも展開してみたいと思いました。」
私:「もし、□□となった時はどのようにしています?」
相手:「△△△△です。」
私:「その後、どのようにしています?」
相手「○×○×です。」
・・・
このようなやりとりを続けた後、
私:「今、おっしゃったようなことが書かれた文書はありますか?」
というようなやりとりをしていました。
すると、相手は、「ああ、〇〇に書かれてあります。」といって対象の文書が提示し、それは監査項目(チェックリスト)の意図する文書に相当するもので、効率よく監査を進めることができました。
システム監査という領域においてもコーチングで学んだコミュニケーションスキルを活用することにより効率的に進めることができたのです。
コミュニケーションの基本の1つに、双方向性というものがあります。コーチングでの対話は、まさにこの双方向性のコミュニケーションの実践と言えます。
システム監査も、人と人との対話が含まれますので、そこにあるのは人と人とのコミュニケーションです。
一見関係なさそうに見えるシステム監査とコーチングの不思議な結びつきを実感しました。
このようにコーチングを学ぶことによって、コミュニケーションの質が高まり、いろいろなところで作用してきます。
コーチングを学ぶって面白いですね。