こんにちは。コーチングプラットフォーム認定コーチの三谷千花です。

今回、「傾聴」について書こうと思ったのは、ある企業研修がきっかけでした。研修の直接の目的は、幹部のかたたちに、コーチングスキルを学んでいただき、組織や部下との対話に活かす、という、一般的な研修です。

対象のかたたちと、グループセッションや 1 on 1 で話をしていると、さすがは幹部の方、傾聴には問題ないように見えます。「私には、傾聴できているように見えますが」I messageでフィードバックを伝えると、「部下とだと、つい、自分が話してしまうんです」

状況は、たとえば、部下が課題について自分の考えを話す前に、答えが見えてしまって言ってしまう、とのことでした。初回の研修で「傾聴」を学び、職場へ持ち帰って実践してみて、自分が今までいかに部下の話を聴かずに自分の考えを示してしまっていたかに気づいたとおっしゃるかたがたくさんおいででした。

企業では、限られた時間で成果を上げることが求められますので、上司として部下と関わるときに、この状況はよく理解できます。

そして、ふと、自分が企業に勤めていたころの上司との面談を振り返ってみたのです。

毎年、業績評価の面談と、キャリアデザインの面談がありました。いい上司にあたったのかもしれませんが、忙しい中で時間をとり、しっかり話を聴いてくれました。話をさえぎったり、否定したりすることなく、まずこちらの話を理解しようとしてくれている、私はそう感じていました。

企業を卒業し、こんな機会でもなければ面談を取り出して振り返ることもなかったでしょうが、卒業のとき、この会社に入ってよかった、と思えたベースには、この、何十年にもわたる、上司の「傾聴」の積み重ねがあったことに思い至りました。

私にとって、上司がしてくれた「傾聴」は、上司からの最高の、承認というプレゼントだったと言えます。

「傾聴」ができるようになるには「傾聴」してもらった経験が必要です。自分が「傾聴」できていないことに気付いた幹部のかたたちは、多忙な企業生活の中で、もしかしたらご自身が「傾聴」してもらったことがないのかもしれません。

コーチング・プラットフォームの講座には、企業のかたたちもたくさん参加されています。講座では、全編を通して「傾聴」の機会を得ます。まずは「傾聴」する、してもらう練習にチャレンジし、体感するところがはじまりです。