2022年の12月末、私は、あまり気乗りしないガスコンロの掃除に取り掛かろうとしていました。

そして、ふと頭をよぎったのは、コーチングの自己基盤の学びの中に出てきた「基準」という言葉でした。

私は、何を基準に年末大掃除をやっているんだろう。

コーチングプラットフォーム認定コーチの日下部亜希子です。

今回は「基準」ということについて、私の体験を通じて考えたことを書いてみようと思います。

人は無意識に自分の「基準」を持っています。

私の大掃除の一つ目の基準はまず、生まれ育った実家での体験です。

両親は大掃除をきちんとやる人で、各部屋の窓拭き、電気の掃除、普段やらないところをしっかりやることが大掃除なんだと、それが私の基準となりました。

少々面倒くさいとは思いながらも、家族で一生懸命取り組んだ子供の頃が懐かしいです。

二つ目の基準は、嫁ぎ先の義母との生活からの体験です。

あちこちからカビの生えたものが出てくるような、あまり掃除や片付けが得意ではない義母でした。なので、私が率先してやらねば、実家の母のように、うまく片付けてやらねば、そんな気持ちが大きくなっていました。

ある年末のこと

物置部屋に物がいっぱい詰まっているのが気になっていました。どう考えても使わないものだと思い、大掃除の時にたくさん処分して物置はスッキリ。基準を満たせて充実感を感じていました。ですがそれを見た義母は

「こんなに何にもなくなってまって!!」

すごい剣幕で怒りました・・・。

義姉は、「モノのない時代の人だから、とにかくたくさんモノがあることで安心したかったのかもしれない」と教えてくれました。

若かった私は、相手が大切にしたい基準が自分とこんなに違うなんて、想像もできなかったのです。

それ以降は、この家の、義母の基準はなんだろう?と恐る恐る、探り探りやっていました。でも、自分が無意識に持っている基準とのせめぎ合いが生まれるたびに、義母を責めたくなりました。

この頃の私が「この人とは基準が違うのよね!」という視点を持てていたらどんなに楽だったでしょう。

そして今、義母は亡くなり、自分の好きなように大掃除をして良いはず・・・

ですが、どこか子供の頃しっかりとやったあの大掃除と同じようにやらなければ、あの基準でやらなければと思っている自分に気がついたのです。それが「ガスコンロやろうかな〜」とあまり気の進まない思いを抱えている時でした。

私は考えました。

「両親の基準でもなく、義母の基準でもない、私が心地いい大掃除の基準ってどんなモノだろう?」

・よく使う台所はちょっとがんばる

・ガスコンロと食器棚だけはやり遂げる

・縁側のガラス窓だけは拭く

・各部屋に掃除機はかける

・〇〇と△△はやらない!

これだけはやり遂げる!というものを3つ4つだけ決めて、ここはやらない!というものも決めました。とても緩い基準となりました。

ですがこのように自分の基準を自分から決められたことで、かなり主体的に掃除に取り組むことができ、その結果ピカピカのガスコンロと食器棚を見て満足した気持ちで年越しができました。

自分で決めた基準(約束)を自分で守れたことで、自分に満足し、自分自身への信頼を取り戻していけたのだと思います。

「大掃除はこういうもの」という実家の基準は私のルーツとして大切です。ただこれからはそれをもっと柔軟に、ここは採用するけどここは手放す、去年はこうだったけど今年はこうする、このようにその時その時の自分にフィットするものを選んでいこうかな、と思っています。無意識ではなく、しっかりと意識に上げて。

あと、人にはそれぞれの基準があるので、自分の基準を相手に押し付けないことも大切だし、押し付けられていると感じる時は、上手に自分を守っていきたいものです。

コーチングプラットフォームでは、「傾聴」などのコーチングのスキルだけでなく、自分の土台を整える自己基盤の学びを重視したプログラムを提供しています。

「基準」は自己基盤の学びの中でも「自己信頼を取り戻す」というとても魅力的な取り組みのひとつです!

ぜひ私たちと一緒に学びませんか?